「温泉が好き」はタイプじゃない?|6タイプ構築までの分析プロセスと考え方

🧠 知る|自分を知って旅を見つける

🖋 筆者について

神戸大学工学部出身、旅好きな会社員です。
経営計画の策定やM&Aなどの真面目な仕事をする一方で、気づけば「旅の動機」を勝手に6つに分類していました。

これは趣味です。でも真剣です。全200ページを超える日本交通公社出版の旅行年報をベースに、「旅の診断」や「支出傾向」まで掘り下げているので、よかったら少し付き合ってください!

はじめに|6タイプ構築までの道筋

「温泉が好き」「ご当地グルメが楽しみ」…こうした旅の目的はよく語られますが、それ自体が“旅タイプ”ではありません。

多くの旅行サイトでは、温泉・自然・グルメなど“名詞”ベースの項目で行き先やテーマを分類しています。
しかし、そこに現れているのは「何をするか」ではなく「何を求めるか」の断片に過ぎません。

今回の分類では、「なぜ人は旅に出るのか?」という動機に注目しました。
そして、その動機を中核となる行動動詞(例:整える・知る・はしゃぐなど)で分類することにしました。

ここからは、調査データ・心理構造・支出傾向をもとに、どのようにして6タイプを導き出したのかを紹介していきます。

🔍 「温泉が好き」は動機じゃない?名詞と動詞に注目した理由

「温泉が好き」「絶景を見たい」「グルメを楽しみたい」。
これらは確かに旅先を選ぶきっかけにはなりますが、その人が“なぜ旅に出るのか”という動機そのものではありません。

たとえば温泉に行く人の中でも、
・疲れを癒してリフレッシュしたい人もいれば、
・非日常の世界に浸りたい人もいる。
・あるいは、友人とのんびり語らうことが目的の人もいるかもしれません。

同じ“温泉”という名詞でも、人によってその背景にある動機(=動詞)が異なるのです。

だからこそ今回は、目的地やジャンルといった名詞ベースの分類ではなく、
「整えたい」「はしゃぎたい」「探したい」といった行動の根っこにある“動詞”を軸にタイプを考えました。

📊 名詞だらけのアンケートから、どうやって動機を見抜いたのか?

日本交通公社の調査では、「旅行の目的」や「最も楽しみにしていたこと」などがまとめられていますが、多くは“名詞ベースの回答”でした。

たとえば、よく挙げられるのがこちら:

  • 温泉に入りたい
  • 自然や絶景を見たい
  • ご当地グルメを楽しみたい

しかし、私たちが注目したのは「これらを楽しみにしている背景には、どんな気持ちや欲求があるのか?」ということ。

たとえば…

  • 温泉 → 心と身体を整えたい景色や雰囲気をじっくり感じたい
  • 絶景 → 新しい世界を探したい自然の中で身体を動かしたい
  • グルメ → 味覚を通じて感覚を満たしたい誰かとの時間を味わいたい

このように、同じ名詞であっても、その背景にある“動詞的な動機”は人によって異なります。
そこで今回は、名詞ベースではなく、行動動機を軸にして6つの旅タイプを構築することにしました。

(参考)6タイプ分類と日本交通公社調査データの照合表

分類タイプ「旅行の動機」(例)旅行先別の最も楽しみにしていたこと(例)着目したキーワード・行動原理
はしゃぎたいタイプ話題のスポットに行きたい/テンションを上げたいテーマパーク/お祭りイベント/繁華街・ショッピング高揚感・盛り上がり・刺激的な非日常
動きたいタイプ身体を動かしたい/アクティブに楽しみたい登山・トレッキング/サイクリング/川下り/スキーチャレンジ・行動衝動・身体性の充足
感じたいタイプ自然に癒されたい/非日常の空気を感じたい自然景勝地/海・山・高原のリゾート/風景スポット五感の解放・空気や音・景色に浸る感覚的体験
知りたいタイプ歴史や文化を学びたい/土地の背景を知りたい寺社仏閣/史跡/美術館・博物館/伝統工芸体験知的好奇心・意味づけ・背景理解への欲求
整えたいタイプリラックスしたい/心と身体を整えたい温泉/スパ/静かな宿での滞在癒し・ストレス解放・心身の回復
流れたいタイプ気ままに動きたい/その場の流れを楽しみたい街歩き/ローカル商店街/カフェめぐり/目的地を決めない旅即興・構造のなさ・柔らかな刺激・自分だけの時間感覚

🧭 行動動機で分ける「6タイプ」の構造

この6タイプ分類は、2×3の構造でも説明できます

今回の「動機ベースの6タイプ分類」は、行動の原動力である(内向/外向)と、 満たしたい内面(思考・感情・感覚)という心理傾向を掛け合わせた、 2×3の構造としても整理できます。

  • 縦軸:行動の原動力(内向/外向
    行動の原動力が「自発的か」「外部刺激を求めるか」
    外からの刺激で気分を上げたい人もいれば、静かな環境で自分を整えたい人もいます。
  • 横軸:満たしたいもの(思考/感情/感覚)
    旅に何を求めているか。
    知的好奇心を満たしたいのか、共感やリラックスを味わいたいのか、体を動かして感覚を刺激したいのか。

たとえば、外向 × 感覚なら「はしゃぎたいタイプ」、 内向 × 思考なら「深めたいタイプ」など、
同じ旅でも求めるものが違えば、行動スタイルも大きく異なってきます。

このように、表面的な目的地や名詞ではなく、旅に求める“内面の欲求”から分類することで、
より自分らしい旅の形が見つけやすくなると考えました。

(参考) 2×3構造で見る6タイプ分類

 感情寄り思考寄り感覚寄り
外向タイプはしゃぎたいタイプ知りたいタイプ(※1)動きたいタイプ
内向タイプ整えたいタイプ知りたいタイプ(※1)感じたいタイプ

※1「知りたいタイプ」は、内外向をまたいだ広義の思考スタイル。思考は、内外行き来をすることも多く、区分けすること自体が適切ではないと判断しました。

※2「流れたいタイプ」は、感情・思考・感覚いずれにも偏らず、構造や制約のない行動スタイルを好むため、
外向/内向にとらわれない“流動的ポジション”と見なしています。

タイプ別・支出傾向分析

旅の動機が異なれば、お金をかけたいポイントも自然と変わってきます。

このパートでは、6タイプそれぞれが「何にお金をかけたくなるのか?」を、レーダーチャートで可視化しました。
支出項目は、日本交通公社 旅行年報の調査項目をベースに、以下の6カテゴリに再編しています。

  • 宿泊費(ホテル・温泉など)
  • 食費(グルメ・食べ歩き)
  • 交通費(移動コスト・現地でのアクセス)
  • 体験費(観光施設・アクティビティ・ツアーなど)
  • 娯楽費(テーマパーク・ライブ・お祭りイベントなど)
  • 準備・装備費(服・アイテム・お土産など)

各タイプの支出傾向には大きな違いがあります。
たとえば「はしゃぎたいタイプ」はイベントやアクティビティに多く支出し、「整えたいタイプ」は宿泊やスパなど静かな時間にお金をかけがちです。
一方、「流れたいタイプ」は全体的に支出は控えめで、何度も旅に出たい傾向が見られます。

こうした傾向を知っておくことで、自分に合った旅行プランや予算配分のヒントにもなります。

(参考)タイプ別支出傾向点数

タイプ宿泊費食費娯楽費体験費準備・装備費交通費
はしゃぎたい345432
動きたい323543
感じたい432323
知りたい332433
整えたい531232
流れたい222222

まとめ|旅タイプは“気持ち”から始まる

これまで「温泉」「グルメ」「絶景」など、名詞で旅先を選んできた人も多いと思います。
でも本当に大切なのは、「なぜそこに行きたいと思ったのか」。

今回紹介した6タイプは、そんな“気持ちの根っこ=動機”をもとに作られています。
行動動機から旅を考えると、自分にとって心地よい旅の形がぐっと見つけやすくなります。

また、この分類は支出傾向や行動スタイルにもつながっているため、

「どこに行くか」だけでなく「どう過ごすか」も自然に見えてきます。

🚪 最後に|自分の旅タイプ、知りたくなったら

「なんとなく旅に出たい」
そんな気持ちの裏側にある“自分の動機”を知ると、行き先も過ごし方も驚くほどしっくりきます。

6つのタイプのうち、あなたに近いのはどれでしょうか?
気になった方は、以下の記事から気になるキャラを選んでみてください。

参考文献
公共財団法人 日本交通公社 「旅行年報」


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